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ワークショップレポート

 

ワークショップ 第22回

2009年01月16日(金)15:00〜16:30
会場:NOTE(東京・大手町)

「2009年 ICT産業の動向」

 

「2009年 メディアの動向」

 

 

講師:仁木孝典(株式会社情報通信総合研究所)

 

講師:志村一隆(株式会社情報通信総合研究所)

 
 
会場の様子

 ワークショップ第22回は、株式会社情報通信総合研究所から2人の講師が登壇した。
 前半は、仁木孝典氏が、ICT産業の今年の動向を分析したうえで、「ICT産業は低迷する経済を牽引する力を持つ」と力強く講演。後半は、志村一隆氏が、1月8〜11日に米ラスベガスで開催された世界最大級の家電展示会「2009 International CES」をレポートしながら、米国のメディア業界の動向を語った。

経済の逆風を追い風に変えて、ICT産業飛躍の足がかりを生み出そう

 ICT産業の動向であるが、ICT業界では、さまざまなレベルでの競争と「融合」が並行して進展している。通信と放送、固定電話と移動電話など、インフラ側の融合が進むと同時に、「店頭で商品を手に取り、バーコードをかざしてその商品についての口コミ情報を検索してから購入する」といった利用側での多様なコンテンツ融合も盛んになっている。こうしたさまざまな「融合」を推進する原動力は、利便性や快適性を求めるユーザ・ニーズである。ICTは、ユーザに自由度を与えることで、結果として既存の構造を変化させる力を持っている。
 2008年に経済環境は一変し、ICT産業にとっても、少なくとも2009年前半は厳しい期間になると予想される。しかしICTには、既存の構造を柔軟に再編成する力がある。たとえば複数の企業が経営統合するとき、SaaS、クラウドコンピューティング、NGNなど、新しい要素を加えたICT基盤を構築することで、統合効果をより高めることが可能だ。
 逆風が吹く危機的状況下にこそ、飛躍へのヒントが隠れているのである。

ICTは既存の構造を柔軟に再編成する力をもつ

ハリウッドとシリコンバレーの融合で米国動画配信市場は裾野が拡大中

 メディアの動向を考えるには、米国の状況を把握しておく必要がある。
 米国では1970年代にフィンシンルール※1が制定され、コンテンツ制作と流通が分離した。その結果、ハリウッドの映画会社がテレビ番組を作り、さらにそのコンテンツをビデオ、DVD、ペイテレビ、ケーブルテレビ、オンライン配信など、多様なメディアへ繰り返し販売して資金力をつけた。1995年にフィンシンルールが修正され、現在では、ハリウッドの映画会社がテレビ局をすべて買収して4大メディアグループが形成されている。これが、「メディア・コングロマリット」である。
 テレビ業界と映画業界のコングロマリットが完了して、次に起きた競争は、ハリウッドが提供するプレミアムコンテンツと、シリコンバレーが提供するCGMとのインターネット上での優位争いである。しかしこれも現在では、技術吸収、買収、配信シンジケーションなどが進み、Hulu※2とYouTubeの関係に象徴されるように、競争と融合が進んでいる。
 2009年、米国では、ハリウッドとシリコンバレーの融合によって、動画配信市場のさらなる拡大が予想される。日本にも少なからぬ影響が及んでくるであろう。

動画配信市場のエコシステム
 

※1.

フィンシンルール: Financial Interest and Syndication Rules
テレビのプライムタイム(日本のゴールデンタイム)の一定量の番組は、社外で制作しなければならないと義務づけた法令。当時の3大テレビネットワークがコンテンツ制作権やコンテンツ所有権まで独占してしまうことを防ぐことを目的に、1970年代に制定され、1995年撤廃された。

 
 

※2.

Hulu
ジェネラル・エレクトリック(GE)傘下のNBCユニヴァーサルと、ニューズ・コーポレーション傘下のフォックスが合弁で立ち上げた動画配信サイト。