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セミナーレポート

3Dバーチャルセミナーレポート

 

3Dバーチャルセミナー 第1回

2009年11月25日(水)19:30〜20:30

「3D仮想空間でのバーチャルセミナーに参加
自分のアバター(分身)駆使し参加者同士の交流を体験
〜次世代サービス共創フォーラム主催の3Dバーチャルセミナー〜」

講師:小池聡(3Di 株式会社)

 
 

 今や全世界のインターネット利用者は約10億人(ComScore調べ、2008年12月時点)。ビジネス、学術、エンターテインメントなど、さまざまなジャンルの膨大な情報が24時間やり取りされているインターネットは、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌に続く「第5のメディア」とも言われています。流通している情報量では、他のメディアを完全に凌駕しているインターネットですが、ここ数年、情報量だけではなく、「情報の表現力」や「使い勝手」といった面も新たに注目を集め始めているのを皆さんはご存じでしょうか?
 そのひとつが「3Dインターネット」と言われる仕組みです。インターネット上に作りだした立体的な仮想空間に自分の分身(以下、アバター)を登場させ、仮想空間の中で「歩いたり」「友達と話をしたり」「議論したり」「ショッピングを楽しんだり」・・・。現在の平面的な画面では表現しきれないリアルな世界を作り出すことで、例えばネットショッピングでは、これまで難しかった詳しい商品の説明が可能になります。また、遠隔地に住んでいても臨場感あふれる会議やセミナーに参加したりと、ネットの新境地を切り拓く仕組みと言われています。
 NTTでも、グループ会社のNTTインベストメント・パートナーズファンド投資事業組合を通じて、ネットベンチャーの創造・発掘・育成・支援および投資事業を行っているngi group社および同社の戦略子会社として、3Dインターネット/メタバース(仮想空間)関連事業を展開している3Di社と2008年5月に業務提携。こちら、次世代サービス共創フォーラムでも、3Dインターネットを利用するための新サービス開発に向けた取り組みが進んでいます。
 さて、少し説明が長くなってしましましたが、11月25日に3Di社の3Dインターネット技術を使った「3Dバーチャルセミナー」が次世代サービス共創フォーラム主催によって開催され、仮想空間でのセミナーを体験することができました。そこで今回は、このバーチャルセミナーの体験レポートをお届しましょう。

神妙に座る自分のアバターをいじってみる

小池聡氏 セミナーは、3Di社のSaaSソリューション「3Diイマーシブセミナー」のシステムが使われました。3Dの表現とリアルタイムコミュニケーションによって、現実世界さながらの臨場感を演出できるのが特徴とのことです。ちなみに今回のセミナー講師は、3Di社の小池聡社長で、講演内容は「−情報共有から体験共有へ−3D化が実現する、企業の新たなインターネット活用」。世界レベルで始まっているインターネットの3D化に関する最新情報についてお話をしていただけるとのことでした。
 さて、PCの前に座って初めて目に飛び込んできたのが、仮想空間に作られた大きなセミナー会場の画像。円形の机に約30の椅子が配置され、すでに数人というか数体のアバターが椅子に着席、各アバターの上には名前が表示されています。当方もマウスと格闘しながら何とか自分のアバターを椅子に座らせることができました。
 落ち着いてPCの画面を眺めてみると、画面は前出のバーチャルセミナー会場とともに、アバターに「うなずく」「首を振る」「挨拶する」「手を挙げる」といった動作を指示するボタンが並ぶエリア、講演で使う資料を映し出すエリア、主催者や参加者同士がテキストでやり取りできるチャットエリアの大きく3つに分かれていました。
「3Diイマーシブセミナー」のインターフェイス  着席して神妙にセミナー開始を待つ自分のアバターを見ていると何となく不思議な感覚で、とりあえず手を挙げさせたり、首を振ったり、立ったり、座ったり動作を確認。操作にも少し余裕ができたところで、会場を冷静に見てみると、操作がわからない場合はいつでも主催者側スタッフを呼び出せる「スタッフ呼び出しボタン」が画面上にあったり、スタッフのアバターも常駐したりしています。参加者が操作などで戸惑った場合には、テキストチャットや音声などで即座に対応できる体制が取られていたのはとても好感が持てました。

セミナー開始10分間は落ち着かない

 そうこうしている間に、いよいよバーチャルセミナーがスタート。画面上の視点を変えながら会場を見まわしてみると、ほとんどの椅子にアバターが着席しています。
 ヘッドホンからは、主催者側からの注意事項とともに、「わかった方は画面右上のジェスチャボタンの『挙手』をクリックしてください」との説明がありました。と、次の瞬間、着席しているアバターが一斉に挙手。セミナーの進行を見守っていた関係者から一斉に「おー」と驚きともつかぬ声が上がりました。確かに、問いかけに対してアバターが一斉に反応する光景は壮観で、少し感動的でさえありました。
 すべての準備が整ったところで、講師の小池3Di社長のアバターが登場。3Dインターネットの特長、オラクル、シスコシステムズなどの海外企業などの具体的な取り組み例、3Dインターネットの市場予測、世界中の技術者が参加する3Dインターネットのオープンソースである「OpenSim」の現状などの資料が、小池社長の「声での講演」と同期してバーチャル会場のスクリーンとPC画面上の資料表示エリアに映し出されていきます。
 開始10分ほどの間は、自分のアバターの動きや、チャット画面で刻々と流れてくる連絡情報などが気になって、肝心のセミナーの内容に集中できませんでした。ただ、それ以降は使い方にも慣れてきて、さまざまなことを試してみる余裕も出てきました。
 講演の途中で、自分のアバターに「うなずかせたり」、参加者同士が1対1で話せるプライベートチャット機能を使って参加者とセミナーの内容について話をしたり・・・。慣れてくると意外と面白い。

図

質問の回答にさかんにうなずくアバターたち

 さて、1時間弱の講演も無事終了。引き続き行われた講師と参加者の質疑応答では、質問がある参加者がまずチャットに「質問」の2文字を打ち込みます。主催者から許可が出たところで、参加者が・・・いや参加者アバターが音声で質問することになります。
 まず「セカンドライフと3Di OpenSimは何が違うのか?」という問いに対して、小池社長は「セカンドライフ以外にもバーチャルワールドのプラットフォームはたくさんある。ただ、すべて独自のアーキテクチャで閉じられた世界。専用のソフトをダウンロードし、会員登録して狭い世界の中だけで動きまわる、いわゆるインターネット上というより『アナザーワールド』になってしまっている。今のインターネットの延長線上で、有効な場面では3Dで使えることが重要で、現在のWebユーザが(3Dを)そのまま使えることがキーになる。3Di OpenSimが世界中に広がった場合には、自分のアバターをどこにでも持っていけるようになる。私たちが目指しているのは、(セカンドライフなどの)クローズな世界でなく、オープンな3Dインターネットである。」との説明がありました。
たくさんの参加者アバターで盛り上がる3Dバーチャルセミナー また今後の展開については「インターネットとテレビの融合にあたって、3Dインターネットはひとつの有効な手段。例えば、サッカー観戦。テレビのサッカー中継を自宅で見ている人同士が、(バーチャルな世界に集まって)実際にその中継を臨場感あふれる中で観戦するといった使い方もできるのではないか。ゲーム機やモバイルとの連動も模索している段階」とこと。PC画面上では、講師の回答に数名のアバターがさかんにうなずいていたのが印象的でした。

とにかく「1回使ってみる」ことが大事では

 質疑応答も終了し、バーチャルセミナーは終了。と、思いきや、実は別のバーチャルルームが用意されており、セミナー終了後に参加者のうち数人が集まり「グループインタビュー」と称するミーティングが開かれていました。この別室の仕組みを利用すると、例えば「セミナー前の講師と主催者の内容確認」や、「バーチャル会議後、経営陣による取締役会」などにも使えそうです。
 今回のグループインタビューは、司会進行役が「アバターの形状」「どのような講演がバーチャルセミナーに適しているか」「最適な利用時間帯は」・・・などの質問を投げかけ、参加者アバターが音声やチャットを利用して回答する仕組み。
 参加者からは「セミナーに特化したもので操作性も良かった」「参加者が多かったが、スムーズに動いたので驚いた」「3D空間ならではの演出ももっと見たかった」「参加者が体験できる仕組みがもう少し欲しい」「参加者同士が事前に小さなグループに分かれ、仲良くなっておけばセミナーも盛り上げるのではないか」といった忌憚のない意見が出されていました。
 全体で2時間強のバーチャルセミナーに参加してみて、「とにかく1回利用してみること」がその特長を理解する上で大切なのではないかと感じました。使ってみると「課題が多い」ことも確かですが、同時に「使わなければ分らない」魅力をいくつも発見しました。まだ年内に2回ほどセミナーがあるとのこと。操作にも少し慣れたところで、次回はさらにじっくりとセミナーの内容や使い勝手などを体験し、レポートしてみたいと思います。

執筆者:磯崎恵一(株式会社情報通信総合研究所)